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2014年5月30日 (金)

第一回 ガイド養成講座

安堵観光ボランティアの会ガイド養成講座

第1回  H26.5.29(木)
テーマ: 大和川の水運と水利」 ; 水の恵みと雨乞い信仰
講師 : 安堵民俗資料館館長 橋本紀美氏



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 勤三桜・牡丹と四季折々の季節の花が皆の目を楽しませてくれる安堵町歴史民俗資料館
さて今はどんな花が?と楽しみに訪れた私たちを迎えてくれたのは小さな水鉢の中で黄色い花をつけたコウホネ(河骨)と可愛いメダカの姿。

夏日の中に爽やかな風を感じる一室で、講座がスタートする。

① 「なもで踊り」の歴史

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「なもで踊り」は1983年奈良県有形民俗文化財に指定。

米作り、特に稲穂が成長する夏から初秋にかけての穂水(雨の恵み)は何より大切なものでした。
降雨の立願・・そして成就の満願の奉納と、江戸時代の文献に残るだけでも実に19回もが確認されております。

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飽波神社社殿のなもで踊り図絵馬(宝暦6年)は薄暗く見えにくいのですが、それを布地に転写したものを間近に見ることができました。

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また、当時の装束の準備や踊りの様子など図入りで実に詳細に記された文献などを見せて頂き、生活に密着していた村人の想いが伝わって来るようでした。

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現在、飽波神社で10月に奉納されている踊りや唄は文献に残された記述を基に振付・メロディーは新たに創作、復活されたものです。(1995年安堵商工会)

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写真は2010年4月に飽波神社の境内で、なもで踊り保存会によって奉納されたもの。


 ② 
「大和川の水運と水利」

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5月末まで展示中の「大和川の水利と窪田村」を見学

展示された室町時代から江戸時代にかけての文献の数々。
中でも1772年京の絵師によって描かれたビッグサイズの「和洲奈良川筋惣絵図」は圧巻でした。

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実物の絵図の写真撮影は禁止でしたので、図(部分)はポスターから。
図の中ほどに「窪田村」の文字が見えます。

郡山から額田部村を通り窪田にかけての川筋の集落や用水路などが細かく表され、要所には附箋が貼られ、往時の奈良川(佐保川)の様子が偲ばれました。

では、なぜ「窪田」が水利の重要なポイントになったのでしょう? 

 文献で証明出来るものでは豊臣秀長の後、郡山城主となった増田長盛から窪田村給人(領主)に宛てた引水権認可状に「これまでどおり」とあることから、始まりの時期や理由の特定には至りませんが、代々認められた強い用水権が窪田にあったことは確かだったようです。

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江戸時代にも上流村々から無断で引水した詫び証文や調停の和解文書などが残されています。

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現在の窪田の天神神社は、その昔「左下大明神(五梅宮)」と言い筒井氏の氏神だったのです。それを土豪窪田氏(現在の中・石田家祖先)が勧請・護持した折の化粧水(代償)が水利権だったとも推測されています。
窪田の大和川河畔には今も井堰の跡があり、河川の改修工事に伴い流れの変わった近くには記念碑や、「切戸」「大明神」など治水と共に生きてきた土地柄を表す古い地名も見られます。

さて、難しい話はここらに置いて・・・
当時、安堵には現在も地名に残る「御幸ケ瀬浜」「板屋ケ瀬浜」の二つの船着き場がありました。
大阪から剣先舟で運ばれた荷は亀ケ瀬で一度陸揚げされ魚梁舟(やなふね)に移され安堵船着き場の問屋まで送られました。

当時、川舟の運行統括をしていた三郷の安村氏の文献にはこんな積み荷(砂糖・酒・瀬戸物・砥石・紙・肥料用の豆粕など)の記録があります。
昭和30年の大和川整備の頃までは、御幸ケ瀬浜あたりには船着き場の名残りの柳並木(地盤強化のため)が残っていたとのこと。

また、大和川増水による岡崎川への逆流調整のために設けられた現在の水利施設辺りに、「百間樋」と呼ばれる江戸時代の治水工事跡の名残があるそうです。
幕府普請方の下し金など支援のもと安堵五ケ村(西安堵・東安堵・笠目・岡崎・窪田)が協力し、腐りにくいと言われる松の木で巨大な樋を作り、大和川の水を一旦取り込み溜め、別の樋で富雄川を通して大和川下流に放出。

何とも凄い智恵だと思いませんか!


さて、素朴な疑問??? 
展示されている文献を見ていて気付きました。

窪田久保田の二通りの記載があるのは何故?

どちらが正しいのでしょうか?

「答え」・・・正しい地名は「窪田」。
但し、外部からの文書に「久保田」の記載が多いのは、耳で聞いた発音だけで、書いたものと推測される、との館長の解説。 
  
有意義で楽しいひと時でした。

「そんなこと知ってどうする?」でなく、知って身の回りを見れば、意外と興味深いことも多いですよ。
難しく構えずに、わが町安堵町を一緒に探訪してみませんか♪

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次回の養成講座は
日時 : 6月23日(月)10時~正午
場所 : カルチャーセンター3F会議室
テーマ: 「聖徳太子ゆかりの史跡について」 
講師 : 天理大学非常勤講師 吉田栄治郎氏     
 

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コメント

なもで踊りは江戸時代を通じて19回だけということをこの講座で知りました。何年、何十年かの旱魃や大雨の時、人々は神社の奥深くに眠っているなもで踊りを思い出したのでしょうか。

投稿: | 2014年6月28日 (土) 15時43分

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